Overview
この講義では、第3章「公衆衛生要約」のうち、「殺虫剤・忌避剤」に関する重要事項や試験によく出るポイントについて解説しています。
殺虫剤・忌避剤の分類と特徴
- 殺虫剤・忌避剤は衛生害虫の防除を目的とし、人体への作用が緩和なものは医薬部外品として販売される。
- 原液を希釈せずに用いるものや長期間成分を放出するもの、高毒性(劇薬)は医薬品として扱われる。
- 忌避剤は虫刺されによる症状緩和ではなく、害虫の吸血や感染症媒介を防ぐ目的で使われる。
主な衛生害虫と防除法
- ハエ:ウジ(幼虫)の防除が重要で有機リン系殺虫剤が使われる。
- 蚊:発疹・痒みのほか、日本脳炎・マラリア等の媒介が問題。
- ゴキブリ:サルモネラ菌等を媒介、燻蒸処理は卵には効果が薄く再処理が必要。
- シラミ:薬剤以外に物理的除去も有効。フェノトリン配合シャンプーが出題頻度高。
- トコジラミ(南京虫):シラミとは別種、他害虫と同様な殺虫剤を用いる。
- ノミ:吸血による痒み、病原細菌媒介が問題。
- イエダニ:ネズミ駆除が最優先。
- 屋内塵性ダニ:湿度管理が重要、水で希釈薬は避けエアゾール・粉剤を使用。
殺虫剤の主な成分と特徴
- 有機リン系:ジクロルボス等、「〇〇ホン/ホス/ノン/オン」が付く。不可逆的にアセチルコリンエステラーゼと結合。
- ピレスロイド系:ペルメトリン・フェノトリン・フタルスリン(全て「〇〇リン」)。神経伝達阻害、人体毒性低く家庭用に多用。
- カーバメイト系:プロポクスル。可逆的にアセチルコリンエステラーゼと結合、ピレスロイド耐性害虫に有効。
- オキサジアゾール系:メトキサジアゾン。作用はカーバメイト系と同じ。
- 有機塩素系:DDTなど(現在はオルトジクロロベンゼンのみ一部使用)。
- 昆虫成長阻害成分:メトプレンなど、脱皮や変態を阻害。
- 忌避成分(ディート等):乳児には使用不可。
使用上の注意・試験頻出事項
- 殺虫成分の連用で抵抗性が生じるため、異なる成分を順次使用する。
- フェノトリンは唯一人体に直接適用可能な殺虫成分(主にシラミ駆除)。
- 各殺虫剤成分の分類・特徴を正しく区別すること。
Key Terms & Definitions
- 医薬部外品 — 医薬品ほど作用が強くないが効果が認められた製品。
- アセチルコリンエステラーゼ — 神経伝達物質を分解する酵素。
- 不可逆的結合 — 元に戻らない酵素との結合。
- 可逆的結合 — 元の状態に戻る酵素との結合。
- 抵抗性 — 薬剤が効きにくくなる性質。
Action Items / Next Steps
- 各殺虫剤成分と作用機序・分類名を暗記する。
- フェノトリンの特性や適応を要チェック。
- 問題集で分類・選択問題の演習を行う。