Overview
本講義では「令和の日本型学校教育」の方針とその実践について、教育改革の全体像・具体的な取り組み・教師や教育現場の変化を中心に解説した。
令和の日本型学校教育の概要と背景
- 令和3年1月に「令和の日本型学校教育」方針が中央教育審議会より答申された。
- 平成29年の学習指導要領改訂と連動して教育改革が進行中。
- 新しい時代に必要な「資質・能力」を3つの柱(知識・技能、思考力・判断力・表現力、学びに向かう力・人間性)で整理。
- Society 5.0(超スマート社会)やVUCA時代への対応が要請されている。
教育改革の主な内容と動向
- 学習指導要領(幼稚園・小中高)改訂、新科目(例:小学校での外国語、高校で「公共」)設置。
- 「個別最適な学び」と「共同的な学び」の一体的充実を重視。
- アクティブラーニング・主体的対話的で深い学びの重視。
- ICT活用(GIGAスクール構想)で1人1台端末環境の整備。
- 学校と社会の連携・家庭や地域との協働が推進されている。
直面する課題と改革の方向性
- 子どもの多様化、情報化対応の遅れ、学習意欲の低下、教師の長時間労働が課題。
- 持続可能な教育体制・働き方改革、少人数指導、教員定数改善が求められている。
- 教師の資質能力向上のため、免許更新制廃止・研修履歴を活用した自己成長促進制度が導入。
授業・学びの実践例
- 個別最適な学び=一人ひとりの特性や進度、興味関心に応じた指導と活動の充実。
- 共同的な学び=児童生徒同士や地域との協働、グループワーク、ディスカッション、プレゼンテーション等の推進。
- ICT端末やデジタル教材(AIドリル・共有ノート)を活用した学びの実現。
教師像・教職の在り方
- 教師は学び続ける姿勢と、自身の資質・力量を自己分析し目標化する姿勢が求められる。
- 管理職との面談を通じて研修計画を策定・実施し、成果を検証するPDCAサイクルの徹底。
- 教師のファシリテーション能力、コミュニケーション力が重視される。
- ウェルビーイングの観点で教師の働き方や心理的安全性、支援人材の配置も重要。
教育振興基本計画と今後の方向性
- 第4期教育振興基本計画(令和5年)が閣議決定。
- 「持続可能な社会の作り手の育成」と「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」が柱。
- 教育機会均等・ICTと従来手法のベストミックス・社会と連携した教育が求められる。
Key Terms & Definitions
- 個別最適な学び — 子ども一人ひとりの特性・到達度・興味に応じ最適化された学習。
- 共同的な学び — 他者と協働してより良い学びを実現する学習活動。
- Society 5.0 — 仮想空間と現実空間が融合した超スマート社会。
- GIGAスクール構想 — 児童生徒1人1台端末&高速ネットワーク整備政策。
- ウェルビーイング — 心身・社会的に良好な持続的幸福状態。
Action Items / Next Steps
- 研修履歴の記録と自己分析を実施し、年度目標を設定。
- ICTを活用した主体的・共同的学びの実践例を授業に取り入れる。
- 最新の教育基本計画や改革方針の資料を確認し理解を深める。