おはようございます。 刑法格論を始めます。 今日からですね、詐欺罪に入っていきます。 本学期は財産犯を見ているわけですけれども、危機罪を見ることで所有権侵害の実質を見て、それを前提に、まずは財産犯で一番重要な専有移転罪の代表として窃盗罪を見ましたその窃盗罪で見た内容というのがかなり他の犯罪と共通の部分が多いわけですけれどもさらにその窃盗を前提に強い暴行脅迫を用いて窃盗を行う行為が強盗罪になるということで強盗罪に関連するところまで見たという段階ですねそれで今日から見ていく詐欺罪はこれも何回か回数かかりますけれども窃盗罪強盗罪と同じく占有移転罪と呼ばれる犯罪であるそこは共通です占有移転特に客体を財物に限定すれば財物の占有移転を要素とする犯罪であるという点では窃盗強盗詐欺それから強活罪もこれは全て同じタイプの犯罪だということになりますけれどもその占有移転罪の中で、窃盗強盗のグループ、これを脱取罪というふうに呼んでいるのに対して、詐欺、強括、この2つの犯罪は交付罪と呼ばれるタイプの占有移転罪になっています。 同じ占有移転罪でもですね、脱取罪と交付罪に分かれるというわけです。
何が違うかということですけれども、窃盗は典型的には被害者が気づかないうちにこっそり取っていくということで、被害者の意思に基づかずに、行為者が100%その財物の移転を実行するということになりますし、強盗罪も同じですね。 被害者が自分の財産が奪われることを認識していても、それを無理やり暴行脅迫で抑えつけて、行為者が奪っていくということなわけですので、被害者の意思に基づかずに、行為者の行為によって、純粋に行為者の行為に基づいて財産が移転する。 それが脱出罪でした。
窃盗強盗はそういうタイプの犯罪だったわけです。 それに対して、これから見ようとしている詐欺罪、さらには強括罪は交付罪というふうに呼ばれていて、交付というのは何かといえば、被害者が自分の財産を行為者に対して渡すということですね。 交付する。 はいどうぞと言って、典型的にははいどうぞと言って、被害者が自分の財産を行為者に渡すわけです。
何で渡すかといえば、本当は真実を知ればですね、渡したくない。 あるいは本来なら渡したくない。 本当の気持ち、真意、真の意思に基づけば渡さないはずなんだけれども、しかし詐欺罪の場合は騙されて渡してしまう。
後遺者が被害者を騙して、で、昨後に陥った被害者が自分の財産を後遺者に交付してしまう。 それが詐欺罪ですし、強括罪はですね、強盗よりも軽い暴行脅迫。 を後遺者が被害者に対して加えて軽く脅して 財産を奪うとそこでは奪うと今言ってしまいましたけれども軽く脅された被害者が本当だったら渡したくないんだけれども怖いので渡してしまう ということではいどうぞと被害者を渡しているその点では詐欺罪と同じなわけですね無理やり奪っていくあるいは気づかないうちに 意思に反して奪われていく窃盗強盗とは違っ詐欺強括の被害者は自分で自分の財産を相手に渡してしまっていると。 そういう交付行為と呼ばれる行為が被害者に認められるという点で、詐欺強括は窃盗強盗とは異なるタイプの犯罪だということになります。 ですので、その交付罪を見ていく際には、まず前提として専有移転罪としての性質があるかどうかを見るということが。
窃盗強盗と共通の問題として必要になりますし、専有移転罪の中でも窃盗強盗ではなくて詐欺強括だということを確認するためには、被害者の交付行為に基づいて財産が移転している、そのことを確認する必要があると。 その交付行為によってですね、窃盗強盗と区別されるということになります。 その交付罪の一つである詐欺罪について見ていきますが、強括は軽くですね詐欺罪の後で見るに留めることにして重要なのは詐欺罪ですので重要というのは社会生活上重要なんですけれども、かなりですね、たくさんの判例があって、解釈論が複雑になっていますので、時間をかけて学習する必要があるという点で、詐欺罪の方が重要だということになります。
詐欺罪、まず条文からですね、246条です。 246条は1項と2項があって、1項の方が、人を欺いて財物を交付させた者は10年以下の懲役に処すると、こういう条文になっています。 っていますで客体が財物だという点で窃盗罪とここは同じですね強盗罪の236条の一方とも同じです違うなこの交付させたの部分ですね先ほどお話ししたようにに交付罪だということで被害者の交付行為というのが要求されているそれはもう条文 上はっきり明示的に要求されているということになりますですので後遺者は相手方被害者である人を欺くという実行行為を行ってそこから被害者が自分の財産を行為者の方に交付するというそういう行為を行ってそれに基づいてその財物が移転するそういう構造を持っているのが詐欺罪だということになります法定期は10年以下の懲役ですので窃盗と基本的に同じですね窃盗、詐欺、強括は10年以下の懲役で同じ重さということになります窃盗と詐欺の違いは、交付行為に基づいて財産が遺伝しているかどうか、そこがもちろん違うのですけれども、詐欺罪には第2項があります。 窃盗罪はありませんでしたが、詐欺罪には強盗罪と同じく第2項があって、虐待が財産上の利益の場合も処罰対象になっています。 全項の方法により財産上不法の利益を得、または他人にこれを得させた者も同行というのは大事です。
一方ですねと同様とするということで全項の方法によりですから人を欺いて財産を交付させるというそういう方法によって客体が財物ではなくても財産上の利益が被害者から後遺者に移転するということがあればですねあるいは他人に移転するということでも第三者に移転するということでもいいのだけれどもそういう場合も同じように処罰しますよとということで、客体が有体物、在物でない場合についても詐欺罪の処罰が用意されていると、条文上そういうふうになっています。 それで、ここまでお話ししたことを図にするとですね、これ次回以降使おうとしているものの、一部を表示しているだけなんですけれども単にこの今囲っているここを見たいだけです詐欺罪というのはまず行為者が疑問行為と呼ばれる実行行為をですね行います疑問というのは難しい言葉ですけれども一般的に現在でも呼ぶことになってしまっていますので覚えてください疑問行為人を騙す行為欺く行為ですね条文上は欺く行為と欺くという言葉が使われています。 その疑問行為によって相手方にですね、錯誤が生じます。
疑問行為に基づく錯誤が生じると。 その錯誤に基づいて被害者が自分の財産についての交付行為を行います。 その交付行為に基づいて財産が源に移転してですね、典型的には行為者に財産が移転して、そこで詐欺罪が起水になると。
こういう構造だということですね。 要素としては、疑問行為の要素と、錯誤の要素と、交付行為の要素と、最終的な財産移転と、こういう要素が必要だということになりますし、これらが因果関係でつながっていくことが必要だということになります。 疑問行為と関係なく被害者が錯誤に陥るのではなくて、その疑問行為に基づいた錯誤である必要がありますし、その錯誤と関係なく交付行為を行ってもいけない。 その錯誤に基づいた交付行為だというふうに言える必要があるとさらにその交付行為に直接基づいてですね財産が移転するとこういうことが詐欺罪では要求されていることになります条文をもう一回見ていただくと人を欺いてというブロックと財物を交付させたというブロックに日本語としてはですね大きく2つに分かれていますですので条文に照らすと直接はああ人を欺く行為があるかという問題と、交付させたというふうに言えるかという、そういうことになるわけですけれども、今の図に当てはめるとですね、疑問行為が行われてそれに基づいて相手方が錯誤に陥ったというふうに言えるかどうかそこまでが欺く行為があったというふうに言えるかどうかという問題になります欺く行為というのはこの前半部分を指しているということですねその被害者が陥った錯誤に基づいて交付行為が行われそれに基づいて財産移転が実現したかどうかこの部分が条文上は交付させたという言葉でえー扱われていることになります。 これが交付行為の要件ですね。
ですので、詐欺罪では大きく分けると、条文上は欺く行為があると言えるかどうか、これは行為者側の事情です。 行為者側に欺く行為があるというふうに言えるのか、それから被害者側に着目して交付行為というのが認められるのか、この2つがですね、大きな問題だということになります。 詐欺罪の基本的な構造はそのようになっているのですけれども、もう少しですね、具体的なことを見ていきたいと思います。 それで、一つはですね、法益はこれ単に財産と書いていますけれども、窃盗罪だとかですね、強盗罪と同じだということになります。 強盗罪は生命身体に対する…安全侵害の要素も出てきてしまいますが、財産というところに限ればですね、窃盗強盗、詐欺は共通だということになります。
財室土地は侵害犯ですね。 専有移転罪ですので、財物の専有が被害されて、現にそれが移転したところ、そのことによって被害者の所有権も侵害されるというふうに考えられますが、これは侵害犯だということになります。 窃盗罪と同じですね。 違うのはですね、結果です。
詐欺罪における結果とは。 というのは先ほども言いましたように被害者が気づかないうちに勝手に持っていく窃盗罪だとか無理やり持っていく強盗罪とは違って被害者の交付行為に基づいて被害者の交付行為に基づいて財産が移転するという必要がありますですので詐欺罪における結果はですね単に被害者の真意に反するというだけでなく事実上はいどうぞと渡している必要があるということですから被害者の意思に基づいて後遺者が財産を取得している必要があるということになります被害者の意思に基づく財産の取得という結果が要求されている点が詐欺罪のですね窃盗罪との大きな違いだということになるわけですねその結果の中身なんですけれどもここからかなりですね複雑な話に入っていきますまず大枠をですねお話ししておくと一つ重要なのですね判例で問題となっている334と335これを比較してこの違いがしっかり説明できるかどうかこれはまず詐欺罪でですね重要な問題ということになりますそれは今ここまでお話ししてきたはい詐欺罪の基本構造あるいは詐欺罪の要件が不十分なのではないかこれまでお話しした要件にプラスしてですね疑問行為、錯誤、交付行為、財産移転というこういう要件にプラスして条文には書かれていないのだけれども財産上の損害という要件がさらに必要なのではないかというそういう問題がですね提起されています歴史的にずっとそれがですね議論されてきたということになります財産上の損害という要件が詐欺罪で必要かどうかという問題ですそれがどういうことなのかを見るためにまずどういうことが問題になっているのか334と335の判例をですね見比べることから始めたいと思います334番をまず見ていただくと、古めの判例でありますけれども、戦前のですね、昭和3年の判例ですね。 これがですね、まず偽医師の事件です。 偽の医師ですね。 お医者さん。
どういう事件かというと、被告人は実際にはですね医師の免許を持っていなかったんだけれども自分はですね医者であるとしかもその薬を作る製剤所からですね派遣されてきた医者であるというふうに査証しますで、患者をですね、医師を装って診察した上で、病気ですねと言って、その病気に特効が認められる薬をですね、自分は持っていますと。 だからこれを買って飲むといいでしょうと言って、被害者を騙してですね、その薬を売りつけたというわけですね。 そこでは被告人側は医者じゃないのに医者を名乗っているものであり、患者の方は本当の患者なわけです。 その患者を医師を名乗るその者が、こういう医者がですね、自分は医師だというふうに患者を騙して薬を売りつけましたというその時にですね、薬が、これは本物です。
本物の薬を医師がですね、患者に売るわけですから、物の移転としては医師の側から薬が患者の方に被害者の方に移転します売ってるわけですので代わりに代金も移動しますね代金は患者がその偽の医師に支払うわけです患者から医師にその代金が支払われるそういう財産の移転が認められるときにその代金についてこの偽の医師が患者から騙し取って取ったということで詐欺罪が成立するかどうかが問題になるということになります。 大金を騙し取った詐欺罪なのではないかというわけですね。 結論としてはですね、これは詐欺罪にはですね、ならないという判断が示されています。 詐欺罪にはならない、このケースではですね、詐欺罪にはならないというんですね。
で、なんでかというと、このケースでは、その薬はまず本物です。 その薬は本物で、その本物の薬の値段として適切な代金を受け取っているということですね。 これ価格相当だということになります。 価格相当というのは、正しい薬を相手に渡して、その薬として適切な代金を受け取っている。 逆に言えば、代金を受け取っているんだけれども、その代金に…匹敵する価値のある価格相当な商品、薬を相手に提供しているというわけですね。
なので、判例のタイトルとして価格相当な商品の提供と書かれていますけれども、そういう意味です。 このケースで、大使院が言うには、その薬を被害者が買い取ることによって、その被害者側、患者の方は、全く財産上の損害を被った事実がないと指摘して、詐欺罪の成立を否定しています。 財産上の損害を被った事実がないというわけですね。 なので、被告人側、行為者の方に着目しても、不法の利益を受けたとは言えないんだというわけです。 ここで財産上不正の損害という言葉が出てきているので、そうするとこれ詐欺罪としては騙してはいますよね自分は本物の医者じゃないのに本物の医者だというふうに相手を騙してはいるので先ほどの詐欺罪の要件のうち疑問行為はあるのではないかとさらに本物の医者さんなんだというふうに患者の方は騙されているわけですから錯誤に被害者は陥っている本物の医者なんだったらその本物の医者からですねその薬を買い取ろうと、買おうということで、その騙された状態で代金をはいどうぞと言って渡しているわけですね。
患者がその偽の医師に対して代金を渡すという交付行為を行っている。 その交付行為に基づいて、その代金が現に偽の医者の手に渡っているわけですので、財産移転もある。 ですから、そこまでで疑問行為、錯誤、交付行為、財産移転という要件は全部満たされそうだと。
でも結論としては詐欺罪を否定すると言っているわけですから、これらの要件にプラスして、さらに財産上の損害という要件が詐欺罪にはあり、しかしこの事件ではその要件が満たされないから詐欺罪が成立しないのだと。 そういう構造でですね、大臣は詐欺罪を理解しているのではないかというふうにまずは考えられるわけです。 普通に見るとですね、そう言えそうですね。
ですので、これに基づくと詐欺罪の要件、第5の要件として、第1が義目を入れる。 第2が錯誤、第3が交付行為、第4が財産移転だとして、第5の要件としての財産上の損害という要件が必要だとされるのではないか、そう理解すべきなのではないかということがまず問題になると。 しかし話は全然それで終わらないのはですね、似た構造の事件であるにもかかわらず、詐欺罪の成立が次の335番では肯定されているからです。
戦後の判例ですね、昭和34年の最高裁のこの判例においては、これも同じタイトルです。 価格相当な商品の提供ということで、相手を騙してですね、商品を売りつける、代金を受け取るというケースで、詐欺罪の成立がこちらでは肯定されています。 どういう事件かというと、今度もですね、意思を装うというケースですけれども、薬ではなくてですね、今度問題となっている商品は電気あんまきです。
ドルバイブレーターと呼ばれるものなので、ドルバイブレーター事件というふうに呼ばれることもある事件だということになりますが、これは客観的にはですね、普通に売られている単なる電気あんまきだったんですね。 単なる電気あんまきだったんだけれども、これをこの被告人は、お客さんに対してですね実はこれは一般には入手困難で特殊なその病気にですね効果のある新しい治療機なんですと本来非常に高価なんだけれども今回はお安くしておきましょうということで2200円ないし2400円で売りつけたというこういう事件ですねここでは被告人側から被害者側に電気暗巻が移転しています商品である電気暗巻ドルバイブレーターが移転するその代金が被害者側から被告人に対して移転しているこれは現金2200円から2400円ぐらいの現金がですね代金として移転しているとこういう構造ですので先ほどと同じですよね先ほどの334番の方は被告人から被害者に商品である薬が移転して、その代金が被害者から後遺者に移転していた。 335番の方はドルバイブレーターが売られて、後遺者から被害者に移転し、その代金が被害者から後遺者に移転している。 基本的に同じ構造ではないか。 しかもですね、価格相当なんですね。
先ほどの334番も、その薬の代金としてふさわしい金額だけが移転していると何か不当に高く売りつけて高額の現金が移転しているわけではないわけですだから財産上の損害がないと先ほど言っていたわけですよね334番ではその薬の代金としてふさわしい金額が移転しているだけだから例えば1000円払って1000円の価値のある薬が来ているんだから財産上の損害がないではないかというのが334番のお話のように見えるわけです335番も同じなんですねこれはドルバイブレーター一般的に売られている電気編巻として小売価格が2100円ぐらいだということでありますので厳密に言えばそれより少し高いと言えるかもしれないけれども基本的には価格相当な受け取った代金にふさわしいものがですね商品として相手に提供されている逆に言えばそのドルバイブレーターを打ってその代金としてほぼ適切な金額を受け取っているだけだということになりますので先ほど334番の判例をこれを財産上の損害がないと 言っている点のその理屈をですねプラスマイナスゼロだからだというふうに見るとするとつまり1000円被害者は支払ったけれども、1000円の価値のある薬が手に入っているんだから、プラスマイナスゼロではないかと。 だから財産上の損害がないんだというふうに見るのが素直ですよね。 そういう見方を334番でするんだとすると、335番でもですね、これは被害者は2千数百円支払って、ほぼそれに匹敵する価値のある商品が自分の手元に来ているわけだから、こちらもプラスマイナスゼロではないかと、ほぼですね。 そうすると、こちらのケース、335番のケースでも、財産上の損害がないということで、詐欺罪が否定されることになりそうなんだけれども、しかしですね、結論として最高裁は、このケースでですね、詐欺罪は成立する、そういう結論でいいんだと。 いうことが示されました。
理由はですね、はっきり言われていないですね。 理由ははっきり言われていないのだけれども、被告人の行為がですね、詐欺罪を構成するとした現犯事、その交際のですね、高等裁判所の判決というのは正当だと、そういう結論が示されています。 で、そうするとですね、そのプラスマイナスゼロの場合に財産上の損害の要件が満たされないから詐欺罪は成立しないのだということを言ってはいけなさそうなわけですねこちらの335番を見るとそういう考え方をとってはいけないということになりそうですでも334の方は財産上の損害がないから詐欺罪成立しないというふうに言っていたこの同じような構造に見える334と335を全く同じ詐欺罪の理解に基づいて、結論が違うことを正当化できるかどうか、そこがポイントになるということになります。
ほとんど同じ構造に見えるのに、結論は違うと言っているわけなので、その結論の違いが説明できないといけないわけですね。 もちろん、判例変更されたというのであれば、話は違うのですけれども、335番は明示的に、334番の判例はおかしいというふうには言っています。 っていませんのでですので何か同じ理屈でこの結論の違いが説明できないといけないのではないかしかし財産上の損害を要件としてプラスマイナスゼロの時にはそれは満たさないという理解を取っている限りはこの違いは説明できないわけですねそこでどうするかという話です途中プロセスはかなりいろいろあるのですけれどもまずゴールをですねゴールを見ておきたいと思います現在のところどう考えられているのかというそのゴールですねそれが349番351番352番このあたりのですね判例ということになります349番を見ていただくとこれが今の問題にですね決着をつけたということができる最近の最高裁判例です平成22年最高裁の平成22年の判例が、詐欺罪の今の点を処理するのに直接関係する部分を定めた判例だと。
結構重要な判例ですね。 どういう事件かというと、これは舞台は関西空港のチェックインカウンターが現場です。 で、被告人はどういうことを行ったかというと、簡単に言えば自分では搭乗するつもりはない、飛行機に乗るつもりはないんだけれども、自分が乗るかのように装って空港のチェックインカウンターで手続きをして、搭乗券を受け取ったという、そういう事件です。
乗るつもりのない飛行機の搭乗券をチェックインカウンターで受け取った。 その行為に詐欺罪が成立することが認められたという事件です。 被告人は、なぜ自分が乗るつもりもないのにチェックインカウンターで手続きをしたのかというと、これは、自分の名前で発見された航空券に基づいて、搭乗券をチェックインカウンターで受け取った上で、それをカナダに不法入国しようとしている別の人に渡して自分は乗らずに自分の名前で代わりに他の人をカナダに密入国させようとしたそういう計画ですそのためにですねそれでお金を受け取るわけですねそのために被告人はチェックインカウンターではあたかも自分が乗るかのように予想を追ってですねそのカウンターにいる職員を騙して搭乗券を受け取ったそこが詐欺罪だと言うんですねもう少し具体的な事情を見ていくと被告人はですねカナダへの不法入国を起としていた中国人のためにチェックインカウンターで係員をざむいてですね韓国発バンクーバー行きの搭乗券を交付させようとそういう計画を立てますでその計画通りですねチェックインカウンターに行って真実はですね本当のところは今言ったようにバンクバー行きのこれエアカナダだと思いますけどもエアカナダのですね搭乗券をカナダに不法入国しようとして現にですね空港のその乗り換えのエリアですね乗り継ぎのエリアトランジットのエリアで待機している中国人にその搭乗券を交付した上で計画ですよ交付した上でその人をその人になりすませて自分になりすませて飛行機に登場させてカナダに不法入国させるそういうつもりであったのにそのことを隠してあたかもその人自身が登場するかのように予想ってで途上権の交付を請求してその交付を受けたというというその行為についてですね、どう評価されるかということなんですけれども、さらに事実関係としてですね、2に書かれているようなことがいろいろ言われていますが、これ後で見ますけれども、そういう事情を踏まえるとですね、どういうふうに法的に今回の被告人らの行為がですね、評価されるかというと、当条件の交付を請求する者、今回の被告人側ですね、その被告人自身が交付機に登場するかどうかというそういう事実は、本件係員、そのチェックインカウンターにいる係員らにおいて、その交付、そのというのは登場券の交付の判断の基礎となる重要な事項なんだと。 ここがもう完全なキーワードですね、現在詐欺罪の一つの。
要件とも言える形になっているキーワードキーフレーズになっています交付の判断の基礎となる重要な事項だなので事故に対する登場券を自分の名前の登場券をですね他の人に渡してその他人を登場させる意図であるのにそのことを隠して係員らに対して登場券の交付を請求する行為は詐欺罪に言う人を欺く行為に他ならないんだと言って、その行為は最終的に詐欺罪を構成するのだと、こういう判断が示されています。 ここでは、その判断の枠組み、要件として、交付の判断の基礎となる重要な事項というのがまず示されています。 これは先ほどの詐欺罪の構造、先ほどお示ししたこの。 この図でいうところの疑問行為に基づく錯誤これが何に関する錯誤である必要があるのかというと錯誤なら何でもいいのではなくてその先に交付行為というのが待っているわけですからその交付するかどうか自分が被害者がですねその財産を交付するかどうかのその交付の判断の基礎となる重要な事項についての錯誤であって初めて、この詐欺罪の要件としての錯誤に該当するんだと、そういうことが示されていることになります。 交付の判断の基礎となる重要な事項についての錯誤でないといけない。
さらに疑問行為というのがそもそも、そういう重要な錯誤に向けられていないといけない。 そういう錯誤をもたらすような疑問行為であって初めて、詐欺罪で問題にすべき疑問行為になるんだとそういう理解になりますこれが先ほどの財産上の損害とどういう関係に立っているかということですけれども今の交付の判断の基礎となる重要な事項という話を入れるとですね財産上の損害という要件を持ち出す必要がなくなります財産上の損害という要件をですね持ち出す必要がなくなるんですね何でかというと交付の判断の基礎となる重要な事項についての策語があれば被害者がはいどうぞと言って相手に自分の財産を交付していても一見それは被害者の同意に基づいて財産が移転しているように見えるがその同意は被害者の作語に基づいた同意なので重要な作語に基づいた同意なのでその同意は法的に無効であるとしたがって被害者が交付行為を行って財産移転していても、その同意は無効だということになるから、この財産移転それ自体が財産上の損害だというふうに言えるということになるんですね。 被害者がはいどうぞと言って渡していれば、被害者がいいって言っているんだから普通それは損害はないだろうということになるわけなんだけれども、重要な策後に基づいて被害者の同意が生まれます。 れているということになるので被害者の同意が無効になるということを通じてこの財産 移転自体が財産上の損害だということになるとそうすると先ほどプラスマイナスゼロだから財産上の損害がないというように言っているかのように見えたあの昔の判例はどうなるのか ということですねそれを振り返ってみるとまず334番の偽の医師が薬を売りつけたというこのケースの方ではですね被害者はどういう錯誤に陥っているかといえば相手が本当は偽の医師なのに本物の医師だという勘違いをしているわけですね被害者が陥っている錯誤は相手が本物の医師であるか否かその点についての錯誤だということになりますで、薬を売買しているわけですけれども、ここでは薬を売って薬を買うという、そういう取引を行っているわけですが、その取引において患者から見たときにですね、相手方が本物の意思かどうかが重要な事柄かどうか、それがポイントだということになります。 交付の判断の基礎となる重要な事項、交付というのは今回は代金を相手に交付しているわけですので、その薬を買って代金を支払うという判断において、その代金を支払う判断の基礎となる重要な事項の中に、相手が本物の意思であるということが入るかどうかということですね。
この判例は現在の先ほどのその判例の枠組みに照らして、今から振り返って評価すれば、相手が本物の意思であるかどうかは重要でないと、そのように判断したというふうに整理されることになります。 薬を売買するときに重要なのは、その薬が本物かどうかということだけであって相手が本物の意思かどうかは重要じゃないとそういうふうに考えればこの334番の詐欺罪否定という結論は現在の判例に照らして正当化することができるということになるわけですね薬を売り買いするときに薬を買う側から見て重要な事柄というのはその薬が本物かどうかその薬の値段として適切な代金を支払うのかどうか、そこだけが重要であって、相手の属性というのは重要じゃないというわけですね。 そう考えれば詐欺罪不成立ということで良いだろう。
それに対して335番はどうかというと、これも偽の意思が意思を装ってはいるわけですけれども、それを超えてですね、直接売買している商品の中身に関する錯誤が被害者にあると。 ということになります。 それはどういう策後かというと、実際には単なる電気あんまきなのに、特殊な治療器であると、病気に効くですね、特殊な治療器具であるという、そういう策後に陥っているわけですね。 そこが、この取引においてですね、被害者が買おうとしたものが買えていないので、そこは重要な錯誤だということになります。 代金を支払うのはなぜかといえば、特殊な治療機だというから買おうと思ったわけですよね、この被害者は。
特殊な治療機だというからそう思って買おうと思ったら、実際は単なる電気やんまきだったということで、これがその代金を支払うにあたって、その判断の基礎となる重要な事項についての錯誤に被害者は陥っていたと。 そこが…334と違う点だということになります。 直接買うもの、それ自体、売買の目的物についての錯誤に陥っているかいないかが異なっているので、そこが詐欺罪が成立するかしないかの結論を分けていると、そういう整理になるということです。 今から見れば、そういうふうにこの2つの判例は整理されて、価格相当な商品を提供していてもですね、その取引において被害者が何を得ようとしていたのか、その被害者がその取引で目指していたもの、目的物が得られているかどうか、それに関する錯誤に陥っているかどうかというところが重要だろうと。
そこだけではないですけどね、この2つのケースについては、そこに違いがあるだろうということになります。 それでもう一度ですね、先ほどの搭乗券、国際線の航空機の搭乗券の事件をもう一回見ることで、その交付の判断の基礎となる重要な事項であるかどうかをどうやって判断するのかということをですね、見ておきたいと思いますが、先ほどのその通常の売買の場合は目的物の性質、それが重要な事柄になるということが一つあるわけですがこの航空券の事件は売買ではないですよねチェックインカウンターで搭乗券を渡すとその場面で被害者が陥っている錯誤というのは何かというと係員が被害者ですねそのチェックインカウンターの中にいる航空会社側の係員はどういう錯誤に陥っているかというと自分が渡すものが搭乗券であるということは正しく認識してますよね。 それからその搭乗券を交付する相手方がBさんであるということもこれは間違いないですね。 現にBさんがやってきてBさんに渡しているわけです。
ですのでそこにも錯誤はないわけだけれども、何に錯誤があるかというと、そのBさんが実際には乗らないで別の人にその搭乗券を後で渡すつもりなのに、そのことに気づいていない。 このBさん自身が当然登場するんだというふうに考えている、そこに錯誤があるわけです。 それが重要な錯誤というふうに言えるかどうかを見ようということですね。 ここでは先ほどお留保した2のところにですね、それに関する事実がいろいろ書かれています。
まず第一にですね、本件においては、これ当然なんですけれども、国際線の航空機なので、そのチェックインカウンターにやってきて、搭乗券を求めている人が、その乗客本人であるという本人確認をですね、搭乗券交付する場面では厳格に行うわけですね。 それはパスポートを見せてもらって、そのパスポートの写真と現にそこに立っている人との見た目を比較して、そのパスポートが示している人物なのかどうかということを確認しさらにそのパスポートの氏名とですね搭乗券の氏名航空券の氏名とパスポートの氏名を照らし合わせて同一人物かどうかということをちゃんと確認するわけですねこの人は確かに航空券に記載されている人物なんだということを認めるとそれに基づいて搭乗券を発行発行してその人に渡すというわけですね。 ちなみに航空券と搭乗券は別物ですからね。 航空券は事前に購入して、旅をしたい人、飛行機に乗りたい人がどの便に乗るのか指定した上で、その航空券を事前に購入すると。
購入すると航空券というのが発行されて、それが権利の内容を証明するわけです。 で、その航空券で直接飛行機に乗るのではなくて、その航空券に基づいて当日空港のチェックインカウンターで搭乗券というのが発行されて、その搭乗券というか紙で発行されたその搭乗券を使って飛行機に乗ると。 こういう仕組みなので、航空券と搭乗券は別物。
この事件で問題となっているのは搭乗券の方ですね。 当日チェックインカウンターで発行される搭乗券を騙し取ったというふうに言える。 かどうかが問題になっているということですチェックインカウンターでは厳密な本人確認が行われているわけですけれどもその理由は何なのかということがその次に書かれていますこういう厳重な本人確認が行われていたのは航空券に氏名が記載されている乗客以外のものが航空機に登場するということになるとその航空機の運航の安全上 重大な弊害をもたらす危険性があるとこういうことがまず指摘されています。 別人が乗ると危ないというわけですね。
それはどういう意味で危ないかというと、一番危ないのはテロですよね。 それは、例えば航空機を爆破するというようなことが行われる可能性があるような、そういう危ない人物についてはブラックリストが作られていて、それは航空会社が持っていると。 ている人を登場させないということが非常に重要なことになるのでチェックインカウンターであるいは国圏購入する段階でもそうですけれども、チェックインカウンターでもですね、本人確認をしっかりしてブラックリストに乗っていない人であるということをしっかり見ないといけないというわけです。
それに失敗すると、飛行機にですね、ブラックリストに乗っている人を登場させてしまうことになって、それが運航の安全上重大な弊害をもたらす危険性がある、そういうことなんだというわけです。 なので、それを回避するために厳重な本人確認を行っていたんだというのがまず第一ですね。 それから、なんで本人確認をしっかりやっていたかというと、その危険だということとは別にですね、本県航空会社エアカナダが、カナダ政府からカナダへの不法入国を防止するために、搭乗券の発券を適切に行うことを義務付けられていたというわけです。
ちゃんと別人に搭乗券を渡さないようにしろというふうにですね、カナダ政府から言われているというわけですね。 これがなんで重要かというと、飛行機を使った運送の業務というのは誰でも勝手にできることではなくて、これは政府の認可が必要なものですね。 政府の認可が必要で、その認可が取り消されてしまうと、影響できないということになるわけですなので政府からどう言われているかということが重要なわけですねその直接的な危険性の問題とカナダ政府から義務付けられていたということに照らすとその乗客以外のものを登場機に登場させないことそのチェック済みの安全な人以外の人を航空機に搭乗させないということが今回のエアカナダの航空運送事業の経営上重要性を有していたのだとこういう評価になっています物理的な危険性と政府から言われていてその義務に反すると認可取り消されるかもしれないというようなそういう事情に基づくと本人以外の人を乗せないということがこの航空会社の航空運送事業の経営上重要性を有していたと当然経営を続けることを前提にした存在でありますので経営上の重要性がある事柄というのは当然強い関心地なわけですよねなので本県の係員らはそういう本人確認ができない場合には当然登場権を交付することはなかったということになります真実を知っていたらつまり他の人に以上ですそうではなくてまず仮に別人だったら当然渡していないわけですね別人だということだったら当然渡していないそうだとすると直接来た人が本人だとしてもその後別人に渡すということが分かっていたら当然最初の段階で交付してもいないというわけですねそれがその後書かれています同様に係員らは当条件の交付を請求する者がさらに他のものに渡して当該乗客以外のものを登場させる意図を有していることが分かっていればその交付に応じることはなかったとですのでこの2のところでは厳格な本人確認が行われていたということが言われ何でそれを行っていたかというと危険を回避するそれから認可取消しを回避するというような点でそれらの点において経営上重要な事柄だからだと本人確認が経常重要だからだと。
そこでは別人に直接登場券を渡してしまうのが回避すべきことであるのはもちろんだけれども、その場合だけじゃなくて、本人が来たんであっても、その後第三者に登場券を渡すということが分かっていれば、当然その目の前にいる本人にも登場券は交付しなかったというふうに言えるんだというわけです。 そういう事実関係を踏まえて、さっきの判断につながっているわけですね。 なので、搭乗券の交付を請求する者自身が最終的にその航空機に乗るかどうかということ柄は、本件係員らにおいて、その交付の判断の基礎となる重要な事項なんだというわけです。
ここでは、そういう判断が示されていて、重要な事項であるかどうかの判断の仕方の一つのパターンですよね。 それが示されているということになります。 さらにここで重要なのはですね先ほどキーフレーズと言いました交付の判断の基礎となる重要な事項というこのフレーズは、2つの部分にさらに分けることができます。 1つは交付の判断の基礎となる事項という部分と、さらにそれに重要な事項というそういう修飾が付け加わっています。 ここの読み方は複数あり得るのですが、さしあたりここでは1つの読み方を前提にしてお話しすると、まず第1の要素。
交付の判断の基礎となる事項というのは、どういう事項を言うかというと、本当のことを知っていたら相手に渡していなかった、こういう関係があれば、これは交付の判断の基礎となる事項なんだということになります。 真実を知っていたら相手に渡していなかったと言える関係があれば、まずは交付の判断の基礎となる事項だというふうに言えると。 今回のケースで言えば、相手を他の人にその搭乗券を渡すということを知っていたら本件の係員はですね目の前にいる被告人Bにですねその搭乗券を渡していなかったというふうに言えるということだったわけですからまずはその交付の判断の基礎となる事項だというふうに言えるさらに重要な事項でないといけないその重要なというのは、これは一定の限定がかかっているというふうに考えられる。 どういう意味かというと、交付の判断の基礎となる事項というところは、これは被害者がどんなに身勝手な理由でも、本当のことを知っていたら自分は渡していませんでしたよという、そういう関係がありさえすれば、極めて個人的な理由でも交付の判断の基礎となる事項には該当するということになりますが、でもそれだけで詐欺罪を認めるのはですね、広すぎるだろうということで、一定の客観的な重要性というのが必要になるだろうということですね。 被害者が全く身勝手に言っているのではなくて、一定の客観的な合理性が認められるような理由じゃないといけないだろうと。
それを指して重要な事項、客観的に重要な事項という制限をですね、課しているというふうに読み込むことが可能です。 今回のケースで言えば、当然のことなんですけれども、そのエアカナダが別人を載せてしまうのは嫌だと何の理由もなく単に嫌がっていたというのではなくて、客観的に合理性のある運送上の危険性に着目した話だとか、あるいは政府からの義務付けだとか、そういうことと結びつけて、結局経営上の重要性があると、事柄なんだとそういう評価を挟んでますよね身勝手な理由ではなくてその被害者の経営上被害者法人被害者側は法人なわけですので航空会社なわけですのでその経営を続けていく上での重要性があるそういう客観的な重要性があるような事柄についての策語だからこれは重要な事項だというふうに言えるんだとということで知っていたら渡していなかったという関係があり、かつその理由が客観的に一定の合理性を持っている、その2つが満たされるときに交付の判断の基礎となる重要な事項というこの要件がですね、満たされる、肯定されると、そういう理解になります。 繰り返しですが、真実を知っていたら渡していなかったというだけでなくですね、さらに客観的な重要性での縛りがあるだろうということです。
それは先ほどのこのケースだった当然なのでちょっとあのなんでそれをあえて問題するのかわかりづらいかもしれませんが先ほどの薬のケースですね偽の医師の事件334番これで考えると患者はですねその相手が偽の医師だったとわかっていたらそんな怪しい人から薬を買うのは嫌だというふうに考えて代金は支払わなかった。 そんな怪しい人だったら、その薬の売買の取引はしませんでしたという人もいそうですよね。 それはまあ確かに言ってもおかしくないんだけれども、でもそれは個人的な理由ですと。
この薬の売買という取引において客観的に重要なのは相手の属性ではなく、薬が本物かどうか、その薬の価格として適切かどうか。 そこだけですというふうに考えれば、この334番の偽医師の事件の被害者は、騙されて代金支払っているんだけれども、何について騙されたかというのを判断したときに、代金を交付する判断の基礎となる事項、個人的なそういう事項についての錯誤はあるかもしれないが、重要な事項についての錯誤はないと。 なので、詐欺罪は成立しないという、そういう説明になるのではないかと。
ということで現在の判例に照らせばそういう説明になり得る事件だということですねそれに対してドルバイブレーターの事件の方はですねまさに商品の性質についての錯誤があるわけですからそれは客観的にもですね重要な事項についての錯誤だということになるそこが重要な事項についての錯誤があるかどうかで先ほどのケースが分かれている結論が分かれているのではないかということですねということで見てきまして、さらに重要なのは、これは先ほどもちらっと言いましたけれども、この交付の判断の基礎となる重要な事項について欺くことが求められるということになりますので、結局、その財産上の損害というふうに言われてきた問題というのは、それはプラスアルファの要件なのではなくて、被害者の同意が無効であるときに、その財産移転、それ自体が財産上の損害の意味を持ってくることになる。 だから財産移転の要件だけあればそれで十分だということになる。 でもその前提として重要な錯誤があって同意が無効だということが言えないといけない。 それが前提になっている。 その錯誤の重要性を見るときに着目するのが先ほどの要件で、交付の判断の基礎となる重要な事項についての錯誤だと言われる。
あったら同意は無効になりますよということを言っていることになる。 さらにそういう錯誤に向けられた疑問行為が要求されているということになるので、財産上の損害の要件として扱えそうな事柄というのは、実は前倒しして、もともと疑問行為があるかどうかのところで現在ではですね、要件上ここで処理されることになるということになります。 財産上の損害と言われるような問題はですね、厳密に言うとちょっと残るんですけど、その話はまた後です。
基本的には財産上の損害として扱われてきた事柄というのは、現在の判例の整理を前提にすれば、そもそも詐欺罪における欺く行為があったというふうに言えるのかどうか、そこで処理されるということになります。 ですので、先ほどの偽の医師が薬を売りつけたという事件で言えば、自分が医師であるということについて、では欺いているけれども、医師じゃないのに医師だというふうに装っている。 そこは確かに疑問行為的なものがあるんだけれども、でもそれは詐欺罪における欺く行為に当たらないということになるわけですね。
正しい薬を正しい値段で売っているだけだから、そもそも欺く行為がありませんという処理になるわけです。 現在の処理に従えばそういうことになる。 でもあの当時はまだそういう話になっていないので、財産上の損害がないと。
そういう言い方になっているけれども現在の枠組みに照らせばそもそも欺く行為がないということになりますさあそこまでですねかなりみっちりとしかし基本的なところに限定してみましたがそれに関連して途中プロセスを飛ばしてですね今問題の発端と現在どう処理されているかというところだけ見ました途中にですね、いろいろあるのですね。 それが証明書の不正取得というタイトルの下で扱われている問題です。 それを、判例をですね、見ることで、340番以降のですね、判例を見ることで、簡単にですね、確認していきたいと思います。 詐欺罪でもですね騙し取るものにいろいろなものがあります先ほどは何か売りつけるケースでは代金を騙し取っているということになりますし詐欺が成立するのであればですね代金を騙し取っているということになりますし登場券のケースで言えばその双方向でやり取りをする取引ではなくて、一方的に当証券を交付するという場面なわけですけれども、そこでは、後遺者が騙し取ったのはですね、搭乗権という特殊な文書ですね。 その搭乗権自体もそうなのですけれども、そういうその特殊な書面を騙し取るというケースがかなりいろいろな場面で認められます。
で、それらを総称してですね、ここでは証明書の不正取得という形でくくっているのですけれども、単なるその商品その薬だとかドルバイブレーターだとかですねそういうものの売買の取引の場面とはちょっと性質が違うので証明書を騙し取ると証明書の類のものをですね騙し取るというところが問題になったものをちょっと固めてみてですね一連の流れを確認しようということですまずはですね、免許証を騙し取るというこういうケースですね。 340番は客帯が運転免許証です。 どういう理由で騙すのかですけれども、実際はなくしていないのに免許証をなくしましたと言って再交付を受けるという行為が詐欺罪になるかが問題になったのが340番です。
再交付を受ける条件として紛失してないといけませんので、紛失してないのに紛失したというふうに騙して再交付を受ければですね、これは詐欺罪でもおかしくなさそうなわけですね。 欺いているし、昨後に警察側がですね、警察あるいは公安委員会の方がですね、昨後に陥って、新しい免許証を作成して交付するわけですから、詐欺罪の要件、形式的には満たしそうです。 満たしそうなんだけれども、このケースではですね、結論として詐欺罪の成立は否定されています。 なんでなのかということですね。
これは、この裁判例、それ自体が言っているところを見るとですね、そういう文書を権限ある官庁から不法に取得することによって侵害される利益、というのは何かというと免許証それ自体ではないんだとそうじゃなくてもっぱらですね交通取締りの便益という国家行政上の利益これが騙し取られていることになるんだとでもそういう利益は財産上の利益刑法で財産犯で問題するような利益には該当しないんだとだから詐欺罪にはならないんだとこういうことが言われていますその後形式的には免許証という財物が移転しているけども、そういう財物を騙し取ったっていうんじゃなくて、本質としてはですね、国家行政上の利益が騙し取られていることになるんだと。 でもその国家行政上の利益っていうのは財産上の利益じゃないんだと。 財産の問題じゃないんだというわけですね。 国家の行政的な何かが取られているだけで、財産が取られているわけではないと。
だから詐欺罪にならないんだと。 そういう…類の説明になっているんですけれども現在の先ほどのその登場券の判例が示した交付の判断の基礎となる重要な事項とその判断枠組みに載せて見ていくと運転免許証の再交付をする場面においてその免許証を相手に交付する判断の基礎となる事項は何かと言った時に確かにその最高付の条件として紛失というのが入っているのであればですねその条件を満たしていないのに満たしている満たしていないことが分かっていたら最高付には応じなかったという意味では交付の判断の基礎となる事項ではあるわけですねでも重要な事項かというとこの取引の場面において重要なのはそこではないという整理になります重要でないとなんでかというと、重要なのは、その免許証に書かれている内容が真実かどうか。 つまり、氏名が正しくて、免許の内容が正しくて、免許証というのは証明する文書なわけですので、その証明の内容が正しいかどうかというのが重要な事柄であって、それが重要であればですね、何枚発行しようが、そこは重要じゃないと。
発行する条件。 を満たしていなくても証明書なんだから照明の内容が正しいかどうかということだけが重要で誤った内容の証明書を作らされて取られれば、それは別かもしれないけれども、正しい証明内容を記した文書が相手に渡っているだけなので、こういう証明書の発行の場面における重要な事項についての錯誤は認められないと、そういう整理になりそうだと。 341番。
も同じですね今度は印鑑証明書です印鑑証明書を騙し取ったというケースですけれども証明の内容は正しいんですね正しい中身の印鑑証明書をしかし別人になりすまして取ったというそういうケースですこれも役場としてはですね渡す相手に誤りはあだけれども証明書の中身としては誤っていないということになりますのでこれもあの現在の判断に照らせばですね重要な事項についての錯誤ではないとそういうことになりそうですでさらにですねパスポートについても同じことが言われています342番ですねパスポートについてもこれはあの旅券パスポートについては157条の2項というところにですねこれは文書偽造罪扱うところで見ますけれども文書偽造も扱う時間があるかどうかという問題があるんですけれども157条2項に公務員に対してですね窓口で虚偽の申し立てをして誤った内容の運転免許証とか旅券パスポートとかあとは観察っていうのが規定されていますがこれは営業許可証のようなものですねレストランに行くと例えばレジの横の壁に営業許可証が掲げてあったりしますけれどもあれが観察と呼ばれるものですそういう面上とか観察とか旅券に不実の記載をさせる内容虚偽の運転免許証とかパスポートを作らせると成立する犯罪なんですけれどもこれは、そういう内容虚偽のものを作らせた上で、当然、自分に交付させるというところまで含めて、処罰最初にしている犯罪だということになるので、自分が受け取るというところを捉えて詐欺罪にしてしまうと、157条の2項というのは結構軽い法定形なのに、全部それが詐欺罪だということになると、157条2項を規定している意味がなくなるではないかと。 ということで、こういう文書についてはですね、詐欺罪が成立しないんだと、157条2項との関係で詐欺罪が排除されるんだという、そういうことがですね、言われることがあります。 現にこの342番の判例はそういうことを言っているように見えるんですけれども、それは全ての場合をですね、うまく説明できないということ、そういう問題を抱えていまして、ちょっと今立ち入った話はしませんが、一般論として詐欺罪の成立を否定するというときに、他にこういう犯罪があるので詐欺罪の成立は否定されるんだという説明はあまり適切でないですね。
何でかというと、やはり詐欺罪の成立が認められるか認められないかは、詐欺罪の要件の中で説明がつくというのがベストだということになりますので、他にこういう犯罪があるからだというのは、ちょっと外側の話に過ぎないと。 もう少し詐欺罪の内部で説明がつかないといけない。 その説明をつける枠組みが先ほどの交付の判断の基礎となる重要な事項という話なわけですね。
ですので、今見た免許証とか印鑑証明書とかパスポートと。 いうようなものについては、内容が正しいかどうかということが重要であって、内容が誤っている場合はともかくですね、内容が正しいものを、しかしその条件を満たさないのに交付してしまったというような場合には、詐欺罪の成立は否定される。 それは重要な事項についての策法がないからだと、そういう整理にすればよいではないかというのが現在の枠組みだということですね。 でそれら今見た証明書の中でも運転免許証とかパスポートとか印鑑証明書とかそういうものについては詐欺罪成立しないということでいいのだけれども証明書だったらなんでも成立しないということではなくて343番これは国民健康保険証ですね 健康保険証それを見せると保険医療が受けられるというその保険証ですねちょうど今月から新規に発行がされなくなったあれですでこれについては話は別ではないかというのが343番以降で問題になっています。 それは要件を満たさないのに健康保険証を作成させてですね、交付させたというときにどうなるかという問題。
さらには、漢方ですね。 簡易生命保険の契約をですねする条件を満たしていないのにそのことを隠して契約を締結してで簡易生命保険の証書を受け取ったという場合どうか先ほど健康保険証はあの下級士の判断でしたが最高裁でもですね345番で 健康保険証の問題が出てきていますこれらについてはですね条件を満たさないのにそれらの健康保険証等の作成をさせて受け取るとこれは詐欺罪が成立するとそういう判断が示されています免許証と何が違うのかですねなくしていないのになくしたというふうに嘘をついて免許証を再交付させてもこれは詐欺罪ではないというふうに言っていたそれに対して要件を満たさないのに健康保険証を作らせてですね保険者あるいは簡易生命保険の契約を、要件を満たしていないのに結んで契約締結して、その証書の交付を受けると、これは詐欺罪だというふうに言っている。 何が違うのかというと、その条件を満たさないのにの部分ですね。 条件を満たさない、そこは共通なわけですけども、条件を満たさないで得たものが、運転免許の場合は、これ免許証それ自体であった。 それ以上の何かを獲得しているわけではないわけですけれども、健康保険証の場合はですね、要件を満たしていないのに健康保険の非保険者の資格を得るということになると、単にその保険証を騙し取っているというだけでなくですね、その資格も騙し取っているわけですね。
その資格を騙し取るとどういうことになるかというと、本来なら受けられない保険医療が受けられることになる。 それは保険証がなければ10割負担で高いお金を払って受けないといけないはずの医療を一部の負担で、3割の負担で健康保険医療を受けることができる。 それは財産的な利益。
逆に健康保険組合の方からすればその人に対して本来なら負担しなくていい7割分の医療費用ですね負担しないといけないという損害が生じることになりますそういう直接的な財産的損害と結びついた資格を騙し取っているというケースについては単に証明書を騙し取ったというだけでなく財産的利益がくっついた財産的利益と結びついた形の証明書を騙し取っていることになるのでこれは詐欺罪を成立させて良い類型だということになりますそれは先ほどの交付の判断の基礎となる重要な事項という判断に載せて説明すればですねそれは単になくしたから再交付してくださいというのとは違ってそもそも財産的な利益と結びついた形での資格を得るその条件を満たしていないのに満たしているというふうに騙されて資格を認めて証明書を発行してしまうとそこで認められた錯誤というのは交付の判断の基礎となる重要な事項だというふうに言えるんだとそれは条件を満たしていなかったら交付していなかったと言えるだけでなくですね重要な事項だと言えるというわけですそれはその取引の場面において財産的な利益と結びついた資格を与えるか否かに関係した条件というのはこれは重要な条件だということになるわけですねこの詐欺罪で問題にすべき重要な策後かどうかを見るときには、相手がその利益を受ける、その財産的な利益を得る条件を満たしていないのに満たしているというふうに勘違いしてしまったという場合は、これは重要な事項の部分が満たされることになる。 そこでは証明書でも、財産的な利益と結びついていない単なる証明書。 運転免許証とかパスポートとか印鑑証明書そういうタイプの証明書とそれから財産的な利益と結びついた証明書健康保険証のようなものそれを分けないといけない分けて考える必要があるということです財産的な利益と結びついた証明書を騙し取るケースにおいては条件を満たしていないのに満たしているように騙すとそれは重要な事項についての錯誤を生じさせたというそういう判断になり得るとそうすると証明書でもですね財産的利益と結びついているかどうかということが重要になってくるわけですが住民基本台帳カードはどうかというのが346番で問題になりましたこれは今発展的にマイナンバーカードになっていますので絶滅危惧種かと思いますが住民基本台帳カードというのがかつてあったわけですねこれは住民登録の内容を証明するカードだということになりますのでかなり運転免許証に近いわけです運転免許証に近いのでこれをですね騙し取っても詐欺罪にはですねならないのではないかというふうにも思えるのですがしかしですねちょっと放ってはおけない事件だということで住民基本台帳カードをですね騙し取る行為についてなんとか詐欺罪を成立させられないかというふうに考えたこれは東京高裁ですかね東京高裁がどういうふうに説明したかというと単なる証明書ではないんだと財産的な利益と結びついているんだということを頑張って言うわけです。
その住基カードの性質として、住民票に記載された氏名がそのカードに載っているということですね。 氏名を証明すると。 そういう証明書だということになるんだけれどもそこでは単なる公的な証明書にとどまって運転免許証やパスポートとの違いはないということになりますそれに加えて住基カードにはですねまずそれを提示することで住民票の写しを入手するなどの行政サービスを享受する機能があるということで少しですね財産的な利益に寄せたことを言いますでもそれ自体は財産的な利益それ自体ではないでもさらにですね、それぞれの市区町村においてですね、その重機カードを見せることによって図書館が利用できるとかですね、そういうところが結構多いと。
さらには特色のあるところとしては、町内の温泉施設の利用料金を割引するとか、例えばそういうですねあるいは本来有料な施設を無料で利用できるようにするとかそういうですね財産的な利益と結びついたそういうカードとして運用しているところもあるというわけですねでもまあそれは今回事件になったところとは違う他の市町村なんだけれども今回事件になった世田谷区について見るとどうかというとその重機カードを使うことによって証明書の交付を受けることができるのだがその時重機カードを使用するとですね窓口において交付を受ける場合よりも50円安く発行できるんだとなのでこの50円分差額の50円分がまず重機カードが持っている財産的利益と結びついたですね証明書としての機能だというわけですねそれは非常にささやかなものではあるんだけれどもそういうところと結びつけて単なる証明書ではないよと財産的な利益との結びつきのあるタイプの証明書なので運転免許証やパスポートの類型ではなくて健康保険証の方のそちらの類型なんだと言って詐欺罪の成立を半ば無理やりという感じもするんですが認めているということになりますそういう流れがあってですね、その先にもっと最近のですね、今のはもうすでに平成27年の重機化の事件ですけれども、別のルートとして銀行預金に関係するですね、一連の詐欺罪の判例というのがあります。 で、実質的には銀行の預金口座をですね、他人に譲ってしまう。 他人の名義の銀行預金口座を持っている人がいるということになるとこれはよろしくないと昔は普通のことだったんですが昔は自分の名前でなくても預金口座を作れたんですけれども最近はそこは厳格ですね自分の名前じゃないと作れないし他人に譲渡することも許されないというふうになってきています他人名義の預金口座を持っている人がいると悪用されるからですね。
それは犯罪に悪用される。 振り込め詐欺に悪用される。 振り込め詐欺を行うときに、人を騙してですね、じゃあこの口座に振り込んでくださいとお願いする犯人の側から見たですね、振り込んでもらうべき口座が自分の名義の口座だと、後でバレたときに、被害者が気づいたときに簡単に足がついてしまうわけですのでそれを避けるためにはやはり犯人としては別人の他人の名義の口座というのはたくさん持っていたいわけですねそうすれば自分の名前が出ることなく振り込め詐欺を行うことができるということになるので社会的な要請としては本人名義の預金口座だけを全員が持っている状態にしましょうとそういう要請がかなり強くなってきているのが現在の状況なわけですでも昔はそうでなかったそうでなかった時代から現在に向けてですねだんだんその預金口座についての規制が厳しくなってくるというそういう変化がですね最近起きたということになります最近といってもこの20年347番の判例は平成14年の最高裁の判例ですけれども他人になりすまして他人名義の預金口座を作って通帳の交付を受けたという行為に詐欺罪の成立を認めたものですそういう規制が厳しくなり始めた時の事件ですねここではこの時点ではですね先ほどの当条件の判例まだ出ていませんのでこの預金通帳は有体物ですよね形があるもので246条1項の財物に当たると解するのが相当だとこういうふうに言ってですね要件としては財物に当たるかどうかそこで処理しているということになりますこれは先ほどの財産上の損害という言葉が古くはですね判例で現れてしかし戦後それだとうまく処理できない事件が出てきてどうするんだということが問題になったわけですけれどもその中で詐欺罪を否定するときにそれは財物に当たらないと言えばいいのではないかとということが問題になりました先ほど来見ている証明書については例えば運転免許証についてはこれは単なるカードに過ぎないのでそれは財物に当たらないと言って詐欺罪を否定したらいいんじゃないかとかですね印鑑証明書についても同じくですね単なる紙っぺらなのでこれは財物に当たらないと言ってしまえば詐欺罪否定できるんじゃないかとそういう議論があったんですけれどもそれだとうまくいかない財物に当たるかどうかというところだけで処理しようとするとうまくいきませんなぜかというと運転免許証が財物に当たらないと言ってしまうと例えば電車の中ですりが隣にいる人のポケットに手を入れてその財布の中から運転免許証だけすり取りましたというときに財物に当たらないとするとそれ窃盗じゃなくなってしまうわけですねそれはおかしいわけです普通に私人間で財産犯を犯す場合には、運転免許証であれ、印鑑証明書であれ、全部財物でないと、セットを成立しなくなってしまうから、やはり財物に当たるというふうに言わないといけない。
財物に当たるんだけれども、その証明書を発行する場面においては、詐欺罪との関係では重要な策後がないというような、そういう処理をしないといけないというのが、先ほどのお話の前提だということですね。 でもこの平成14年の判例はこの時点ではですねまだその詐欺罪の要件の理解が現在のように深まっていなかったということになりますので差し当たりはこの預金通帳についてそれを正面から財物だというふうに判断した判例がなかったということでそこで財物に当たるということを言った上でですね結論として単に詐欺罪が成立することは明らかだとこういうことを言っていました。 その後、それは他人名義のもので、結論としては当然だということなんですけれども、その後、自己名義であってもですね、自己名義で口座開設して預金通帳の交付を受ける場合であっても、その後、他人に譲渡する意思があるのに、そのことを隠したというケースで詐欺罪の成立が肯定されるようになりました。 ここでもですね、ほとんど結論が示されているだけに近いといえば近いのですけれども、欺く行為があると言えるんだというところにかなり寄せてきています。
つまり何しらぬ顔してですね、自分の名前で講座解説しているわけですけれども、そこでは申し込んだ本人が自分自身で利用する意思であることを表しているんだと、そういう意味があるんだというふうに言った上で、しかし実際は自分自身で利用する意思がないんだ。 からあそこはですね欺く行為と言える でしょうということで下砂機材の成立を肯定しています。 で、預金口座についてはですねそういうことが言われてきたその先に先ほどの当条件の判例が出されたというまあそういう流れになっています。
で当条件では先ほど見たようにですね繰り返しですけれども交付の判断の基礎となる重要な事項について手の錯誤に向けられた疑問行為があるかどうかというそういう判断になっていますので少し遡って今の預金通帳についてもですね例えば自己名義の預金通帳でも他人に譲渡する意思があるというときに銀行にとってその預金口座が本人だけによって利用されるということが重要な事項だというふうに言えるかどうかそういう判断をすることに現在ではなるということですね昔はそれ重要じゃなかったわけです銀行にとっては誰だろうが口座作ってですねそれを利用してくれれば良いということだったわけですけれども現在では振り込め詐欺をやはり社会的にですね相当強く防いでいくということが要請されますので振り込め詐欺の予防に向けて協力することがかなり広い範囲で求められるわけですね銀行というのはまさにその現場なわけですので振り込まれる口座を管理しているのが銀行だということになるわけですのでしっかり本人確認した上でその本人だけがその口座を利用できるようにそういう状態を維持するということが銀行にとっては非常に重要な社会的要請だということになります信用に基づいた業務を行っているところが銀行ですので、そういうところはしっかりする必要があると。 ですので、その意味で重要事項性が認められるという説明に現在ではなるというふうに考えられます。 ということで、今日は詐欺罪の基本的な構造をお話しした上で、とりわけ交付の判断の基礎となる重要な事項というところについて見ました。
引き続き次回以降も詐欺罪を見ていきますのでよろしくお願いいたします。 お疲れ様でした。