Overview
本講義では「英語史」をテーマに、現代英語の特徴や綴りと発音の不一致、その歴史的背景について解説された。
英語史という学問
- 英語史は英語の歴史だけでなく、英語を話してきた人々や社会の変遷も対象とする学問である。
- 英語の歴史は約1600年に及び、始まりは5世紀イギリスへの移住とされる。
- 英語史は世界史とも密接に関わり、英語学習者も「英語話者」としてとらえる。
英語の時代区分
- 英語は古英語(449年頃~1100年)、中英語(1100年~1500年)、近代英語(1500年~1900年)、現代英語の時代に分けられる。
- 古英語、中英語は現代人にとってほぼ外国語であり、特別な訓練を受けないと読めない。
綴りと発音の不一致の由来
- 英語は綴りと発音が一致せず、例外的な単語が多数存在する。
- 例:「busy」は方言由来で発音は北部、綴りは西部のものが標準化。
- 「build」なども同様に歴史的混乱から生じた表記。
- 「doubt」のbなど、ラテン語への憧れから綴りのみ追加された文字もある。
- KNで始まる単語は、かつて発音されていたが徐々にK音が消失した。
綴り多様性の極端な例
- 「through」の綴りは中英語期で少なくとも516通り確認されており、標準化前は多様だった。
社 会と英語の変化
- 書き言葉は知識階級が、話し言葉は庶民が支配していたため、両者のギャップが生じた。
- 綴り改革は過去に多く試みられたが、成功した例はない。
- 現代の英語は国際的に広まったため、変化しづらくなっている。
言語変化の要因
- 綴りや発音の変化は必ずしも合理性や発音のしやすさだけでなく、外来文化への憧れやファッション性も影響する。
- ノルマン征服以降、英語はフランス語の影響を強く受けた。
Key Terms & Definitions
- 古英語(Old English) — 449~1100年頃の英語。現代英語と大きく異なる。
- 中英語(Middle English) — 1100~1500年頃の英語。古英語より近代英語に近いが難解。
- 綴りと発音の不一致 — 書き言葉と話し言葉が一致しない現象。
- 綴り改革 — 英語の綴りを音に合わせて合理化しようとする試み。
Action Items / Next Steps
- 古英語・中英語の実例を調べ、綴りと発音の違いを確認する。
- 「through」「doubt」などの語源・表記の変化を学習する。